「1ポンドって何ペンス?現代と昔では違うって本当?」
「イギリスの旧貨幣制度って複雑そうだけど、実際どんな仕組みだったの?」
「アンティークコインのカタログを見ていても、シリングやクラウンの価値がよく分からない…」

アンティークコインの収集を始めると、必ずぶつかる壁が「イギリスの旧貨幣制度」です。現代の私たちにとって、1ポンド=100ペンスという十進法は当たり前ですが、実は1971年まで、イギリスでは1ポンド=240ペンスという、一見複雑に見える仕組みが使われていました。
この旧貨幣制度を理解することは、単に数字を覚えるだけではありません。それぞれのコインが当時の人々の日常生活でどのように使われていたのか、どんな歴史的背景があるのかを知ることで、アンティークコイン収集の楽しみが何倍にも膨らむのです。
この記事では、イギリスの旧貨幣制度を初心者の方にも分かりやすく、順を追って徹底解説します。ファージングからソブリンまで、各通貨単位の価値、歴史、そして実際の使われ方まで、詳しくお伝えしていきます。
アンティークコイン収集を始めたばかりの方も、すでにコレクションを楽しんでいる方も、この記事を読めばコインの価値や歴史をより深く理解できるようになります。ぜひ最後までお付き合いください!
目次
1ポンド=100ペンス?いえ、昔は240ペンス!
現代の十進法システム
現在のイギリスの貨幣制度は非常にシンプルです。1ポンド=100ペンス。この十進法システムは、1971年2月15日、通称「Decimal Day(十進法の日)」に導入されました。私たちが普段使っている日本円や米ドルと同じ、100を基準とした分かりやすい仕組みです。
しかし、それ以前のイギリスでは、全く異なる貨幣制度が使われていました。それが今回詳しく解説する「旧貨幣制度」です。
旧貨幣制度の基本構造
1971年の十進法移行以前、イギリスでは1ポンド=240ペンスという仕組みが何世紀にもわたって採用されていました。現代の私たちからすると「なぜそんなに複雑なの?」と感じるのは当然です。
しかし、この制度には長い歴史と実用的な理由がありました。実は、この240という数字は、12と20という2つの進法が組み合わさった結果生まれたものなのです。
「£.s.d」表記の意味
旧貨幣制度では、金額を表記する際に「£.s.d」という記号が使われていました。これは以下を意味します。
£(ポンド記号):Pound(ポンド)を表す
s:Shilling(シリング)を表す。ラテン語の「solidus」に由来
d:Penny(ペニー)を表す。ラテン語の「denarius」に由来
例えば、「£2 5s 6d」と書かれていれば、「2ポンド5シリング6ペンス」を意味します。この表記方法自体が、ローマ時代からの長い歴史を物語っているのです。
旧貨幣制度の基本:12進法と20進法の世界
シリングという中心的存在
旧貨幣制度の複雑さを理解するカギを握るのが、シリングの存在です。シリングは、ペンスとポンドの間に位置する中間的な通貨単位で、制度全体の基準となっていました。
✅ 1シリング = 12ペンス(12進法)
✅ 20シリング = 1ポンド(20進法)
つまり、基本構造はこうなります:
- 最小単位:ペニー(複数形はペンス)
- 中間単位:シリング(12ペンス)
- 最大単位:ポンド(20シリング = 240ペンス)
結果として、1ポンド=12×20=240ペンスという、現代では考えられない複雑な仕組みができあがったわけです。
覚えるべき基本の3つの関係
旧貨幣制度を理解するために、まず以下の3つの関係を覚えましょう。これがすべての基礎になります。
1. 12ペンス = 1シリング
2. 20シリング = 1ポンド
3. 240ペンス = 1ポンド
この3つの関係さえ覚えれば、あとは応用していくだけです。例えば、「6ペンスは何シリング?」と聞かれたら、12ペンス=1シリングなので、6ペンス=0.5シリング(半シリング)と分かります。
なぜこんなに複雑だったのか?歴史的背景を探る
ローマ時代からの伝統
イギリスの旧貨幣制度のルーツは、実はローマ時代まで遡ります。ローマ帝国では「リブラ(libra)」という重量単位を基準に、貨幣制度が構築されていました。
ローマ帝国では「デナリウス」という硬貨が発行されていました。このデナリウスがペニーの語源となり、リブラがポンド(£記号はリブラのLに由来)の語源となったのです。
中世イングランドでの確立
この制度がイギリスで確立したのは、サクソン時代(8世紀頃)です。当時のイギリスでは、銀1ポンド分の重さから240枚のペニー銀貨が鋳造されていました。
シリングは当初、実際の硬貨ではなく、計算上の単位でした。12ペンスを「1シリング」と呼んで計算を簡単にしていたのです。実際のシリング硬貨が登場したのは、もっと後の時代です。
なぜ改革されなかったのか?
「こんなに複雑なら、もっと早く改革すればよかったのでは?」と思うかもしれません。実際、十進法への移行の議論は19世紀から何度も行われていました。
しかし、何世紀にもわたって使われてきた制度を変えることは容易ではありませんでした。すべての価格表示、会計システム、自動販売機、現金登録機などを変更しなければならず、膨大なコストがかかります。
また、当時の人々は生まれた時からこの制度に慣れ親しんでおり、複雑と感じていなかったという側面もあります。12ペンス=1シリングの計算は、彼らにとっては自然なことだったのです。
最終的に1971年に十進法へ移行したのは、国際化が進み、他国との取引が増える中で、より普遍的なシステムが必要になったためです。
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小額貨幣:ファージングからシックスペンスまで
ここからは、実際の各通貨単位について、詳しく見ていきましょう。まずは日常生活で頻繁に使われた小額貨幣からです。
📌 ファージング (Farthing) – 4分の1ペニー

価値:1/4ペニー(1ポンドの960分の1)
ファージングは、旧貨幣制度における最小単位のコインでした。名前の由来は古英語の「feorthing」で、これは「4分の1」を意味します。
歴史:1279年から1956年まで、約670年間にわたって鋳造された長寿の貨幣です。これほど長期間使用された貨幣は世界的にも珍しく、イギリス貨幣史の重要な一部を成しています。
デザイン:多くのファージングには、裏面にコマドリ(ロビン)が描かれており、「ロビン・ファージング」という愛称で親しまれました。この可愛らしいデザインが、コレクターの間で今も人気を保っている理由の一つです。
📌 ハーフペニー (Halfpenny) – 2分の1ペニー

価値:1/2ペニー(1ポンドの480分の1)
ハーフペニー(Half Penny)は、中世から20世紀半ばまで流通し、「ヘイペニー」という愛称で親しまれました。
日常での使用:新聞の購入、路面電車やバスの短距離運賃、公衆電話の使用料金など、日常的な小額支払いに頻繁に使用されました。特に都市部の公共交通機関では、ハーフペニーでの支払いが一般的でした。
変遷:初期のハーフペニーは銀製でしたが、後に銅製、そして青銅製へと変わっていきました。サイズも時代によって変化し、大きなものから小さなものまで様々なバリエーションが存在します。
十進法移行後も新しい1/2ペニー硬貨(1ポンドの200分の1)が発行されましたが、これも1984年に廃止されました。小額硬貨は常にインフレとの戦いだったのです。
📌 ペニー (Penny) – 基本単位

価値:1ペニー(1ポンドの240分の1)
ペニーは旧貨幣制度の基本単位です。複数形は「ペンス(pence)」で、記号は「d」で表記されました。この「d」は、前述のとおりローマ時代の銀貨「デナリウス」に由来します。
歴史的重要性:ペニーの歴史は非常に古く、サクソン時代(8世紀)まで遡ります。当初は純銀製で、かなりの価値を持っていました。中世のペニー銀貨は、当時の労働者の1日分の賃金に相当することもあったのです。
デザイン:表面には国王または女王の肖像が描かれ、裏面には長年にわたってブリタニア像が採用されていました。ブリタニアは盾と三叉の矛を持つ女性の姿で描かれ、イギリスの象徴として親しまれています。
📌 スリーペンス (Threepence) – 3ペンス

価値:3ペンス(1ポンドの80分の1、1/4シリング)
スリーペンスは、16世紀のエドワード6世時代に初めて発行され、小額ながら日常取引に広く用いられました。
なぜ3ペンス硬貨が必要だったのか?:これは12進法の利点を活かすためです。12ペンス=1シリングにおいて、3ペンスは正確に1/4シリングとなり、計算が非常に便利でした。6ペンスが1/2シリング、9ペンスが3/4シリングとなるため、シリング単位での取引が簡単になったのです。
特徴的なデザイン:1937年以降は十二角形の黄銅貨が登場し、その独特な形状で人気を集めました。この十二角形のデザインは視覚障害者にとっても識別しやすく、機能性とデザイン性を兼ね備えていました。
文化的意義:クリスマスプディングの中にスリーペンス硬貨を入れる伝統がありました。切り分けた時にこの硬貨が入っていた人は幸運が訪れるとされ、家族の楽しみの一つでした。
📌 シックスペンス (Sixpence) – 6ペンス

価値:6ペンス(1ポンドの40分の1、1/2シリング)
シックスペンスは、1シリングの半分の価値を持ち、「Tanner(タナー)」という俗称で親しまれました。この「タナー」という愛称の由来は諸説ありますが、ジプシーの言葉で「小さい」を意味する言葉から来ているという説が有力です。
結婚式の伝統:シックスペンスは幸運のシンボルとして、特別な意味を持っていました。最も有名なのが結婚式の伝統で、「Something old, something new, something borrowed, something blue, and a sixpence in her shoe(何か古いもの、新しいもの、借りたもの、青いもの、そして靴の中にシックスペンス)」という言い伝えがあります。
花嫁が左足の靴にシックスペンス硬貨を入れて式に臨むと、結婚生活に幸運と繁栄がもたらされるとされました。この伝統は今でも一部で続いており、アンティークのシックスペンスがウェディングギフトとして人気です。
中額貨幣:シリングからハーフクラウンまで
ここからは、日常的な取引から少し高額な買い物まで、幅広く使用された中額貨幣について見ていきましょう。
📌 シリング (Shilling) – 12ペンス

価値:12ペンス(1ポンドの20分の1)
シリングは旧貨幣制度の中核を成す通貨単位でした。12ペンス=1シリングという関係は、制度全体の基準となっていました。
「Bob」という愛称:シリングは「Bob(ボブ)」という愛称で広く親しまれていました。「That’ll be five bob(それは5シリングです)」というように日常会話で使われ、この愛称の由来は諸説ありますが、明確には分かっていません。
労働者の賃金基準:19世紀から20世紀初頭にかけて、多くの労働者の日当がシリング単位で支払われていました。「週に10シリング」「日に2シリング」といった形で賃金が設定され、シリングは労働の価値を測る基準となっていたのです。
📌 フローリン (Florin) – 2シリング

価値:2シリング = 24ペンス(1ポンドの10分の1)
フローリンは、1849年にヴィクトリア女王の治世下で初めて発行されました。実はこのコイン、十進法への移行を見据えた「実験的な試み」として導入されたという興味深い歴史があります。
十進法への布石:フローリンは1ポンドの10分の1という、十進法に適合しやすい額面でした。19世紀半ばには既に十進法への移行が議論されており、フローリンはその第一歩として導入されたのです。しかし、実際の十進法移行は120年以上も先の1971年まで実現しませんでした。
名前の由来:「フローリン」という名前は、中世フィレンツェで発行されていた金貨「フィオリーノ(Fiorino)」に由来します。フィレンツェの象徴である百合の花(Fiore)から名付けられたこの金貨は、中世ヨーロッパで広く流通した国際通貨でした。イギリスがこの名前を採用したのは、国際的な威信を示す意味もあったと考えられています。
📌 ハーフクラウン (Half Crown) – 2シリング6ペンス

価値:2シリング6ペンス = 30ペンス(1ポンドの8分の1)
ハーフクラウンは、その名の通りクラウン(5シリング)の半分の価値を持つコインです。実用的な額面として長年愛用され、庶民から富裕層まで幅広い層に使われました。
日常での実用性:ハーフクラウンは、ちょっとした買い物から少し高額な支払いまで、非常に幅広い用途に使われました。レストランでの食事代、タクシー代、週末のレジャー費用など、中流階級の日常生活に欠かせない額面でした。
サイズと重量:ハーフクラウンは比較的大きな銀貨で、手に取ったときの重厚感がありました。このサイズ感が、「それなりの金額を扱っている」という実感を与え、支払いの際の満足感につながっていたとも言われます。
📌 ダブルフローリン (Double Florin) – 4シリング

価値:4シリング = 48ペンス(1ポンドの5分の1)
ダブルフローリンは、イギリス貨幣史上最も短命だった通貨の一つです。その興味深い歴史は、貨幣デザインの重要性を物語っています。
華々しい登場:1887年、ヴィクトリア女王の即位50周年(ゴールデン・ジュビリー)を記念して、ダブルフローリンが発行されました。フローリンの2倍の価値を持つこのコインは、大きく立派な記念貨幣として注目を集めました。
致命的な欠陥:しかし、重大な問題がありました。ダブルフローリンは、同時期に発行されていたクラウン硬貨(5シリング)と大きさやデザインが非常に似ていたのです。そのため、両者を混同する人が続出し、詐欺の温床になる恐れが指摘されました。
特に照明の暗い場所や、急いでいる時には、4シリングのコインを5シリングとして使われたり、逆に受け取った人が損をしたりといったトラブルが頻発しました。
早すぎる終焉:こうした混乱のため、ダブルフローリンはわずか4年間(1887-1890年)で製造が中止されました。計画的に廃止された通貨としては異例の短さです。この失敗は、貨幣デザインにおいて「識別のしやすさ」がいかに重要かを示す教訓となりました。
高額貨幣:クラウンからソブリンまで
最後に、高額な取引や貯蓄、そして王室の威信を象徴する高額貨幣について見ていきましょう。
📌 クラウン (Crown) – 5シリング

価値:5シリング = 60ペンス(1ポンドの4分の1)
クラウンは、威厳ある大型銀貨で、現在の5ポンド記念貨の前身とも言える存在です。「Crown(王冠)」という名前が示すとおり、王室の権威を象徴する特別なコインでした。
記念貨幣としての役割:クラウン銀貨は、日常的な流通貨幣というよりは、王室の重要な出来事や国家的な記念日に特別デザインで発行されることが多いコインでした。戴冠式、結婚式、ジュビリー(在位記念)などの際に発行され、国民が記念として保管する傾向がありました。
サイズと美しさ:クラウンは直径約38mmという大きなサイズで、その分、デザインにも余裕があり、非常に美しい図柄が施されました。熟練した彫刻師による精密な肖像画や紋章が刻まれ、まさに「芸術作品」と呼ぶにふさわしいコインです。
投資と貯蓄:クラウンは銀の含有量が多く、それ自体に実質的な価値がありました。そのため、貯蓄や投資の手段としても用いられました。結婚の際の贈り物や、子どもの誕生記念として銀行に預けておくといった使われ方もしていました。
コレクターアイテムとして:現在、アンティークのクラウン銀貨は、コレクターの間で非常に人気があります。特にヴィクトリア女王時代の「ゴシッククラウン」や、ジョージ5世の「ライダーズクラウン」などは、その美しさと希少性から高値で取引されています。
📌 ハーフソブリン (Half Sovereign) – 10シリング

価値:10シリング = 120ペンス(1/2ポンド)
ハーフソブリンは、ソブリンの半分の価値を持つ金貨で、より手頃な金貨として重要な役割を果たしました。
金の信頼性:ハーフソブリンは金製であるため、その価値は金そのものの価値によって裏付けられていました。インフレや通貨の信用不安が起こっても、金貨の価値は保たれるため、富裕層や商人たちに信頼されていました。
商取引での使用:高額な商取引、土地の売買、遺産の分配など、重要な金銭のやり取りの場面でハーフソブリンが使われました。紙幣よりも金貨の方が信頼性が高いと考えられていた時代、ハーフソブリンは「確実な支払い手段」として重宝されたのです。
貯蓄と投資:多くの人々がハーフソブリンを貯蓄や投資の手段として保有しました。銀行に預けるよりも、金貨を手元に置いておく方が安心だと考える人も多く、家の金庫や隠し場所に大切に保管されました。
現在の投資用金貨として:現在でも、イギリス王立造幣局は新品のハーフソブリン金貨を発行し続けています。投資用金貨として世界中で人気があり、金の実物資産としての価値とコレクション性を兼ね備えた魅力的な投資対象です。
📌 ソブリン (Sovereign) – 1ポンド

価値:20シリング = 240ペンス = 1ポンド
そして、旧貨幣制度の頂点に立つのがソブリン金貨です。このコインこそが、イギリスの威信と経済力を象徴する最高額貨幣でした。
名前の由来と歴史:「Sovereign(ソブリン)」という名前は「主権者、君主」を意味します。最初のソブリン金貨は1489年、ヘンリー7世の時代に発行されました。しかし、現在私たちが知る「モダンソブリン」の形式が確立したのは、1817年のジョージ3世の時代です。
大英帝国の象徴:19世紀から20世紀初頭にかけて、大英帝国が世界の4分の1を支配していた時代、ソブリン金貨は世界中で流通しました。「太陽の沈まない帝国」の通貨として、ソブリンは国際的に広く流通する通貨としての役割を果たしました。
聖ジョージと竜のデザイン:ソブリン金貨の裏面には、ベネデット・ピストルッチがデザインした「聖ジョージと竜」の図柄が描かれています。馬に乗った聖ジョージが竜を槍で退治する勇壮な場面は、コイン史上最も美しいデザインの一つとして高く評価されています。
このデザインは200年以上にわたって基本的に変わることなく使用され続けており、ソブリンのアイデンティティとなっています。
投資用金貨として:現在でも、ソブリン金貨は世界で最も信頼される投資用金貨の一つです。イギリスでは法定通貨として扱われるため、イギリス国内ではキャピタルゲイン税が免除されるという大きなメリットがあります(日本国内では通常の税制が適用されます)。
純金含有量7.32グラム、重量7.98グラムという規格は、1817年以来変わっておらず、この一貫性が信頼性の源となっています。
コレクターの聖杯:アンティークコイン収集の世界では、特定の年号や状態の良いソブリン金貨は、非常に高値で取引されます。
⇓⇓⇓ソブリン金貨がお勧めな理由⇓⇓⇓
ソブリン金貨が絶対におすすめな4つの理由
十進法への移行:1971年の大改革
「Decimal Day」の到来
1971年2月15日、イギリスは「Decimal Day(十進法の日)」を迎えました。この日、何世紀も続いた旧貨幣制度が終わりを告げ、新しい十進法システムが始まったのです。
新システム:1ポンド = 100ペンス(新ペンス)
これにより、複雑だった計算が一気にシンプルになりました。もはやシリングという単位は必要なく、ポンドとペンスだけで済むようになったのです。
移行の困難さ
しかし、この移行は決して簡単ではありませんでした。何世紀も使われてきた制度を一夜にして変えることは、社会全体に大きな混乱をもたらす可能性がありました。
政府は数年前から準備を進め、教育キャンペーンを実施し、新旧の貨幣を併用する移行期間を設けました。銀行、商店、自動販売機、すべてが新システムに対応する必要がありました。
国民の反応:特に高齢者の中には、慣れ親しんだ旧制度の廃止を嘆く声もありました。「12ペンス=1シリング」という計算は、彼らにとっては自然なことで、新しい100進法の方が違和感があったのです。
しかし、若い世代や国際ビジネスに携わる人々は、新システムを歓迎しました。計算が簡単になり、海外との取引もスムーズになることが期待されたからです。
まとめ:旧貨幣制度を理解してコイン収集をもっと楽しもう
複雑だが魅力的なシステム
こうして見てみると、イギリスの旧貨幣制度は確かに複雑です。しかし、その複雑さの中に、長い歴史と実用的な知恵が込められていることが分かります。
12進法は分割しやすく、日常の取引に便利でした。20進法には人類学的な深いルーツがありました。そして何より、この制度は何世紀にもわたってイギリス経済を支え、大英帝国の繁栄を下支えしてきたのです。
最後にもう一度:基本の3つの関係
これだけは覚えておいてください:
- 12ペンス = 1シリング
- 20シリング = 1ポンド
- 240ペンス = 1ポンド
この3つの関係を基礎として覚えておけば、あとは各通貨単位を組み合わせて理解していくだけです。最初は複雑に感じるかもしれませんが、少しずつ慣れていけば、必ず理解できます。
コレクションを始めよう
旧貨幣制度について学んだ今こそ、実際にアンティークコインのコレクションを始める絶好のタイミングです。シックスペンスから始めるのも良し、思い切ってソブリン金貨に挑戦するのも良し。
それぞれのコインには、それぞれの物語があります。あなたのコレクションが、イギリスの歴史を物語る小さな博物館になるでしょう。
この記事が、あなたのアンティークコイン収集の旅をより豊かで楽しいものにする助けとなれば幸いです。コインを通じて、歴史と文化を楽しむ素晴らしい世界が、あなたを待っています!
おさらいQ&A:よくある質問20選
ここまで学んだ内容を、Q&A形式で総復習しましょう!
s:シリング(Shilling)※ラテン語 solidus に由来
d:ペニー(Penny)※ラテン語 denarius に由来
例えば £2 5s 6d とあれば、「2ポンド5シリング6ペンス」という意味になります。
• 12ペンス = 1シリング
• 20シリング = 1ポンド
• 240ペンス = 1ポンド
あとは、ここから逆算したり組み合わせたりするだけです。
ペニー:旧制度の基本単位で、歴史的には労働者の1日賃金に相当した時代もありました。
どちらも庶民の生活と直結した、小額支払いの主役です。
シックスペンス(6ペンス):1/2シリング。「タナー」という愛称で呼ばれ、結婚式で花嫁の靴に入れる幸運のコインとして今も人気です。
• 12ペンス = 1シリング
• 20シリング = 1ポンド
• 240ペンス = 1ポンド
この「土台」ができた上で、ファージング・シックスペンス・フローリン・ハーフクラウン・クラウン・ソブリン…と、コインごとの物語を少しずつ覚えていけば、あなたのコレクションは「小さなイギリス史博物館」になっていきます。
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アンティークコイン収集の楽しさを、多くの方と共有できれば嬉しいです。
また次回の記事でもお会いしましょう!












