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皆様こんにちは。ソブリンハブ の江村です。
今回は、アンティークコイン投資で失敗しないために必ずやるべきことについて、私の経験と多くのコレクターの事例を基に詳しくお話しします。
「アンティークコインって本当に儲かるの?」「失敗したらどうしよう」という不安を持つ方も多いでしょう。実は、失敗を避ける方法は確実に存在します。それを今日、すべてお伝えします。
はじめに:アンティークコイン投資の現実

アンティークコイン投資は、正しい知識と戦略があれば非常に魅力的な投資対象です。しかし、残念ながら多くの初心者が失敗してしまうのも事実です。
なぜでしょうか?それは、アンティークコイン投資特有の落とし穴を知らずに始めてしまうからです。
私自身、イギリスで何百人ものコレクターと接してきましたが、成功している人と失敗する人には明確な違いがあります。その違いを理解し、正しいアプローチを取れば、あなたも必ず成功への道を歩めます。
失敗する人の典型的なパターン

まず、アンティークコイン投資で失敗する人の共通点を見てみましょう。
- 「値上がりしそう」という曖昧な理由で購入する
- 相場を調べずに言い値で買ってしまう
- 短期的な利益を求めて焦って売買する
- 一つの種類のコインに全財産を投じる
これらは全て、知識不足と準備不足が原因です。では、どうすれば失敗を避けられるのでしょうか?
基礎知識を徹底的に身につける
アンティークコイン投資で最も重要なのは、基礎知識の習得です。これは避けて通れません。
具体的には以下の知識が必要です:
歴史的背景の理解
コインの価値は、その歴史的背景に大きく左右されます。例えば、なぜヴィクトリア女王のゴシッククラウンが高額なのか?それは、1847年に発行された希少で人気なクラウン銀貨であり、(1853年にごく少量のプルーフが存在)その美しいデザインと少数生産ゆえの希少性が評価されているからです。
グレーディングの基準
MS(ミントステート=未流通)とPF(プルーフ=特別打ち)の違い、数値グレードの意味、各グレーディング会社(PCGS/NGCなど)の基準と特徴を理解しましょう。
特に重要なのは、同じMS64でも年代で価格が大きく異なる点です。例えば1850年のビクトリアヤングヘッドソブリン金貨ではMS64は超高鑑定ですが、1965年のギリックソブリン金貨ではMS64は高鑑定とは言えません。また、PCGS/NGCには真正・グレードの保証制度がありますが、NGC Ancientsのように古代コインは真正保証の扱いが異なるなどの例外もあります。
相場感を養う3つの習慣

アンティークコインで失敗しないために、正確な相場感を身につけることは極めて重要です。以下の3つの習慣を実践しましょう。
1. オークション結果を定期チェック
Heritage Auctions、Stack’s Bowers、Spink等の大手オークションハウスの結果を継続的に確認しましょう。同じコインでも状態によって価格が10倍以上違うことがあります。
例:1847年ゴシッククラウンでは、状態(損傷・研磨・打刻品質・トーン・Eye Appeal など)の違いにより約 $1,000 → $30,000級まで乖離するケースが見られます。
2. 複数の販売サイトで価格比較
同一または類似個体が複数サイトで販売されていることは珍しくありません。価格差・写真品質・返品条件を横比較して、適正価格のレンジ感を掴みましょう。
3. 為替レートの動向を把握
アンティークコインは国際商品です。為替の変動が投資成果に大きく影響します。落札・売却時点のレート(例:GBP/USD)を確認し、手数料や送料・輸入消費税も含めた実効コストで判断しましょう。
偽物を見抜く力を身につける
アンティークコイン投資で最も恐ろしい失敗は、偽物を掴まされることです。偽造コインは世界中で流通しており、オンラインでも横行しています。出所の一般化よりも、具体的な識別手順を身につけることが肝心です。
しかし、初心者の方は裸でコインを買わずにスラブに入った鑑定済みコインをご購入頂くことを強くお勧めします。
偽物を避ける具体的な方法
- 重量と直径は必ず確認:ただし0.1g程度の差は摩耗や製造許容差の範囲もあり得ます。重量・直径だけで断定せず、以下の指標と総合評価を。
- エッジ(縁)と縁文字の仕上げ:文字の鋭さ・打刻の深さ・バリ/工具痕の有無。
- 意匠の精細さ・摩耗の自然さ:不自然な摩耗・均一な艶・鏡面の荒れなどは要注意。
- 比重・磁性・音:地金が異なると比重や磁性がズレる。打音の違いも参考。
- 信頼できる第三者鑑定:PCGS/NGC等のスラブは比較的安心だが、スラブ偽造の事例もあるため照合(証明番号のオンライン確認等)を。
信頼できるディーラーの見極め方

アンティークコインの失敗を防ぐ最も確実な方法は、信頼できるディーラーと取引することです。
良いディーラーの特徴
- 詳細で正直な商品説明:傷や問題点も隠さず記載し、鮮明な画像を提示。
- 適正価格:オークション・相場から大きく乖離しない。
- 実績と評判:長年の営業実績・レビュー・コミュニティでの信頼。
- 専門知識:質問に的確に回答できる(来歴・打刻・バリエーション・市場動向)。
- 業界団体の倫理規定に準拠:英国のBNTAや日本のJNDAなどの加盟店は、真正保証・返品方針等の倫理規定に従う。
逆に、「買うだけで誰でも儲かる」といった煽り文句を使うディーラーは避けるべきです。
リスク分散の重要性
アンティークコイン投資で失敗する人の多くは、一点集中投資をしてしまいます。
「このコインは絶対に値上がりする!」と思い込んで、全財産を投じてしまう。これは最も危険な投資方法です。
賢明なポートフォリオ構築
- 異なる時代:中世、近代、モダンなど
- 様々なグレード:高グレード品と中グレード品のバランス
- コレクション型と地金型:金銀相場によって変動する地金型金貨、銀貨と地金価格以上にプレミアムの付いたコレクション型コインを分散して購入
コレクションが好みの種類に偏ってしまうのは十分理解できます。しかし、私の経験では最低でも3種類以上のコインに分散投資することをお勧めします。
長期的視点で投資する

アンティークコイン投資の失敗で最も多いのが、短期的な価格変動に一喜一憂することです。
アンティークコインは株式のようなデイトレードには向きません。流動性が低く、売買には時間がかかります。
成功する長期投資の心構え
- 最低5年は保有する覚悟:短期での大きな値上がりは期待しない
- 定期的な購入:一度に大量購入せず、時間分散する
- 市況に左右されない:暴落時こそ買い時と考える
- 売り急がない:適正価格での売却を待つ余裕を持つ
コミュニティに参加する価値
アンティークコイン投資で失敗しないための秘訣の一つが、コミュニティへの参加です。
一人で投資していると、情報が偏り、判断を誤りやすくなります。しかし、経験豊富なコレクターと交流することで、失敗のリスクを大幅に減らせます。
コミュニティ参加のメリット
- 最新の市場情報:値動きや新しい発見の情報がいち早く入る
- 偽物情報の共有:危険な事例や偽造パターンの注意喚起
- 売買の機会:コレクター同士での適正価格での売買
- 知識の深化:ベテランからの実践的なアドバイス
まとめ:失敗しない投資家になるために

アンティークコイン投資での失敗を避けるために、今日お話しした内容をもう一度整理します。
- 基礎知識を徹底的に身につける(MS/PFの違い・グレーディングの読み解き方を理解)
- 相場感を養う習慣を作る(大手オークション結果の継続確認・価格比較・為替チェック)
- 偽物を見抜く目を養う(重量・直径は指標の一つ。縁文字・比重・工具痕などと総合判断)
- 信頼できるディーラーと取引する(BNTA/JNDA加盟店・真贋保証・透明な説明)
- リスク分散を心がける(国・時代・金属・グレードの分散)
- 長期的視点で投資する(最低5年の保有・時間分散・売り急がない)
- コミュニティに参加する(情報の非対称性を埋める)
これらを実践すれば、アンティークコイン投資での失敗リスクは大きく減少します。
また、以下のブログでもアンティークコイン投資を始めるに辺り、重要な事を書いています。是非合わせて御覧ください!
【決定版】アンティークコイン投資に失敗する人の5つの特徴と対策
【決定版】アンティークコイン投資の5つのリスクとは?購入前に必ず知っておきたいデメリット
【アンティークコイン投資で失敗しないために】これだけは絶対に押さえてほしいたった一つのこと
最後に一つだけ付け加えるなら、「完璧を求めすぎない」ことも大切です。小さな失敗は学びの機会と捉え、経験を積みながら成長していく。それがアンティークコイン投資で長期的に成功する秘訣です。
免責事項
本記事は教育目的の一般情報であり、特定の金融商品の取得・売却等を勧誘するものではありません。コレクタブル(コイン等)は多くの場合、金融規制(例:英国FCA)の直接の適用対象外です。実際の取引は各自の判断と責任で行ってください。必要に応じて専門家にご相談ください。