1. ギリシャでイギリスのアンティークコインが愛される理由

こんにちは!ソブリンハブの江村です。以前ギリシャを訪れたとき、現地のアンティークコインショップで驚くべき光景を目にしました。そこには他のどこでも見たことがないほど多くのイギリスコインが並んでいたのです。「なんでギリシャにはイギリスのアンティークコインがこんなにたくさんあるの?」と不思議に思うことでしょう。
🔹 経済不安が生んだ金貨への信頼
ギリシャは長い間、経済的な問題を抱えてきた国でした。そのため人々は余ったお金があると、金を買うことを決めていたのです。
19世紀にはイギリスのソブリン金貨が世界中で最も人気のコインでした。年配世代の人たちもみんなソブリン金貨を買っていて、地金として流通用のソブリン金貨を保有していました。
🔹 戦争と政府への不信
正直なところ、人々はギリシャ政府を恐れていましたし、戦争も恐れていました。第二次世界大戦はギリシャ、特にクレタ島にとって大きな問題でした。
資産を安全に保管し守るための避難場所のような感覚だったのです。
2. アンドレアスとの出会い – 現地コインディーラーの証言

現地のコインショップオーナー、アンドレアスに話を聞くことができました。彼の家族も金貨コレクションの歴史を持つ典型的なギリシャ人家族でした。
🔹 投資からコレクションへの進化
「父は5ポンドの金貨を買っていて、ある程度集まると高価なコレクションアイテムや希少性の高いアンティークコインに手を出し始めました。これが人々の買い方の進化なんです」
最初は地金型金貨を買うところから始まり、だんだんもっとコレクション性の高いものに興味を持ち始めたのです。

🔹 世代を超えて受け継がれる知識
若い人たちも自分の祖父母からの遺産に何があるのか知りたくなってきて、専門書を買い始めるようになりました。
ギリシャのどこにいても、戦争があった場所でも、みんな金を貴重な金属として愛しているのです。
3. 日本との違い – 危機感の差が生む投資観
アンドレアスが指摘した日本との大きな違いは、危機感の有無でした。

🔹 貯金文化 vs 投資文化
「日本って安全な国だったし、『お金を貯めなさい』って教えられてきたでしょう?『投資しなさい』とか『お金を他の資産に変えなさい』って教えられたことは一度もないんじゃない?
貯金しなさい、貯金しなさいって教育システムなんですよね。これが問題なんです、危機感が全然ないから」
🔹 コインという代替資産の魅力
ここ10年で代替資産の中でもコインは、ワインや絵画、スーパーカーのようなトップクラスの資産の一つとして認識されています。
自分の手に歴史の一部があって、それが何世代も渡ってきて今自分のところにあるということ。これこそがコレクションの最大の魅力なのです。
4. 特別なコインたち – 一点物の価値
アンドレアスが見せてくれた特別なコインの数々は、まさに歴史の証人でした。

🔹 ヴィクトリア女王とジョージ6世のコイン
1893年のビクトリア5ポンド金貨のトップグレードのコインや、ジョージ6世の1937年の5ポンド金貨65カメオなど、最高品質のコインが並んでいました。
特にビクトリア5ポンド金貨のMS64コインは、コレクターにとって垂涎の一品です。
🔹 ロイヤルミント試作品の希少性
最も興味深かったのは、ロイヤルミントの試作品でした。これらのコインは全て一点物で、絶対に他では見つけることができません。
市場にほとんど出てこない超希少品です。
5. 古代コインの闇 – 法的制約と違法取引
ギリシャのコイン事情には、驚くべき法的制約がありました。
🔹 厳格な古代コイン取引規制
「ギリシャでは古代コインの売買は完全に違法なんです。ギリシャの文化遺産ということで、ディーラーは買うことも売ることも許されていません。
これは麻薬取引よりもひどい犯罪とされているんですよ」とアンドレアスは語りました。
🔹 海外市場に流出する古代コイン
イギリスの市場や日本の市場、EUの市場で見かける古代コインの多くは、クレタ島やアテネから来ていますが、これらは個人が密かに海外に持ち出したものです。
海外で売られている古代コインのほとんどは違法に持ち出されたものなのです。
6. 銃から生まれたコイン – ギリシャ独立の歴史
最後にアンドレアスが語ってくれた話は、ギリシャの歴史そのものでした。

🔹 オスマン帝国の銃から作られた最初のコイン
ギリシャが独立したばかりの国として成立したとき、コインを作る銅すら持っていませんでした。そこで政府は何をしたのでしょうか?
オスマン帝国から没収した銃を溶かして、ギリシャで最初のコインを作ったのです。
🔹 手作業で生まれた貨幣制度
これらのコインは機械ではなく、すべて手作業で作られました。まさに独立への意志と誇りが込められた、世界でも類を見ない歴史を持つコインなのです。
銃から生まれたコイン – これほどドラマチックな貨幣の起源を持つ国は、世界中を探してもそうそうないでしょう。
7. まとめ – ギリシャから学ぶコイン投資の智恵
ギリシャのコインショップ訪問を通じて見えてきたのは、単なる趣味のコレクションを超えた、生きるための智恵としてのコイン投資でした。
🔹 危機の時代に培われた資産保全の智恵
ギリシャの人々が金貨を愛し続ける理由は、長い間の経済不安と戦争体験から培われた実践的な智恵にありました。政府や通貨への不信が、より普遍的で安定した価値を持つ金という資産への信頼を生んだのです。
これは決して過去の話ではありません。現代でも経済情勢の不安定さを考えれば、同じ智恵が必要かもしれません。
🔹 日本人が学ぶべき投資観の転換
アンドレアスが指摘した「貯金文化」と「投資文化」の違いは、日本人にとって重要な気づきでした。安全な国で育った私たちには危機感が不足しており、資産の多様化という発想が乏しいのかもしれません。
コインという代替資産は、歴史的価値と投資価値を兼ね備えた魅力的な選択肢なのです。
🔹 歴史を手に取る喜びと責任
ロイヤルミントの試作品から古代ギリシャのコインまで、それぞれが持つ歴史的背景の深さには圧倒されました。特に銃から作られたギリシャ初期のコインの話は、
独立への意志と創意工夫が込められた、まさに「歴史の重み」を感じさせるエピソードでした。
🔹 コレクションの未来と継承
ギリシャでコインが世代を超えて受け継がれているように、これらの貴重な歴史的遺産は適切に保管され、次の世代に引き継がれるべきものです。
古代コインの違法取引問題が示すように、歴史的価値のあるものには適切な流通経路と法的保護が必要不可欠なのです。
アンドレアスとの出会いと彼が見せてくれたコインの数々は、投資という経済的側面を超えて、歴史との対話と文化の継承という深い意味を私たちに教えてくれました。ギリシャの小さなコインショップで学んだこの経験は、きっと一生忘れることのない貴重な財産となることでしょう。