はじめに:皆様にお詫びと訂正
皆様こんにちは。ソブリンハブの江村です。
本日は少し異なるテーマでお話をさせてください。実は私、今までずっと皆様に半ば誤解を招くような表現を使っていました。
それは「ヤングエリザベス」「ミドルエリザベス」といった、日本国内だけで使われている独特の呼び方を、まるでグローバルな共通表現であるかのように紹介してきたことです。
今回はその背景や、実際のイギリスでの呼称について正直にお伝えさせていただきます。
ヴィクトリア女王の肖像は日英共通
まず、ヴィクトリア女王のコインについてです。彼女には3つの主要な肖像がありますが、これはイギリスでも日本でも同じ呼び名で知られています。
- ヤングヘッド(Young Head)
- ジュビリーヘッド(Jubilee Head)
- オールドヘッド/ベールヘッド(Old Head / Veiled Head)
例えば、1887年のジュビリーヘッドの5ポンド金貨などは、そのまま「ジュビリーヘッド5ポンド」として通じます。
エリザベス女王の肖像は呼び方が異なる
問題はここからです。エリザベス女王のコインでは、日本でよく使われる「ヤング」「ヤングヤング」「ミドル」などの呼称は、イギリスでは全く通じません。
イギリスでは、その肖像をデザインした彫刻家の名前でコインを識別するのが一般的なのです。
イギリスでの正式な呼称:彫刻家の名前
以下がイギリスで一般的に使われている肖像と彫刻家名の対応表です:
- ギリック(Mary Gillick):日本でいう「ヤングヤング」
- メイチン(Arnold Machin):日本でいう「ヤング」
- マクルーフ(Raphael Maklouf):日本でいう「ミドル」
イギリスでは「Gillick Sovereign」や「Machin Sovereign」といった形で表現されます。
イギリスで通じる名称を覚えよう
たとえば、イギリスのディーラーに「ヤングヤングのソブリンが欲しい」と言っても通じません。
その場合は「Gillick Sovereign」と伝える必要があります。
同様に、「ミドルエリザベスの5ポンド金貨」は「Maklouf £5 gold coin」と伝えましょう。
このように、海外の収集家と取引する際には正式な彫刻家名を覚えておくことが非常に重要です。
なぜ今後も日本式の呼び方を使い続けるのか
ここまでお伝えしておいて恐縮ですが、私は今後も日本式の呼び方を使い続けます。
なぜなら、日本国内では既に「ヤング」「ミドル」といった呼称が定着しており、多くのお客様がその表現で親しんでいるからです。
「マクルーフの5ポンド金貨」と言っても、日本の多くの方にはまだなじみが薄く、理解されにくいと感じています。
まとめ
今回の記事では、日本とイギリスでのエリザベス女王の肖像呼称の違いについて解説しました。
- ヴィクトリア女王の肖像は共通表記
- エリザベス女王はイギリスでは「彫刻家の名前」で呼ぶ
- 日本では「ヤングヤング」「ヤング」「ミドル」などが一般的
皆様がイギリスのディーラーや海外オークションに参加する際、この知識が少しでもお役に立てば幸いです。
今後も、日本と海外の文化や慣習の違いを丁寧に伝えていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。