
イギリスのアンティークコインを見ていると、「2/–」「2s」「24d」など、ぱっと見では読めない表記が頻繁に出てきます。そこで最初に理解しておくと楽になるのがフローリン(Florin)です。
この記事では、フローリンの意味、なぜ2シリングがフローリンと呼ばれるのか、旧貨幣制度(£/s/d)の見方まで、できるだけ分かりやすく整理します。
補足:本記事は、アンティークコイン学習のための一般情報です。売買や保有の判断は、価格・状態・真贋・手数料・税制などの条件で大きく変わります。必要に応じて専門家や公的情報も確認してください。
フローリンを1分で理解する
フローリンは、イギリス旧貨幣制度における「2シリング(two shillings)」の呼び名です。まずはここだけ押さえれば十分です。
- フローリン=2シリング
- 旧制度では、1ポンド(£1)=20シリングなので、2シリングは1/10ポンドです
- 表記では「2/–」「2s」「24d(※後述)」のように出てきます
最初のうちは「フローリン=2シリング」という対応だけ覚えて、あとは換算表を見ながら慣れていくのが現実的です。
次の一歩:アンティークコイン投資の全体像(どんな順番で学ぶか)も押さえたい方は、まずこちらからどうぞ。
初心者でも5分で理解!アンティークコイン投資の始め方〖儲かる理由と失敗しない為の鉄則〗
なぜ2シリングがフローリンと呼ばれるのか

「2シリングなのに、なぜ“フローリン”?」と感じる方は多いです。結論から言うと、フローリンは額面(2シリング)とは別に付いた“通称”で、背景にはヨーロッパ圏で使われてきた呼び名と、英国での十進化(デシマル化)を意識した設計が絡みます。
(1)「florin」という呼び名が先にあった
florin(フローリン)という言葉自体は、歴史的にはヨーロッパで広く使われてきた「フロリン/フローリン系の貨幣名」に由来すると説明されることが多いです。英国の2シリング硬貨でも、その呼び名が採用されました。
(2)英国フローリンは「1/10ポンド」を強く意識したコインだった
特に初期のフローリンは、「2シリング=1/10ポンド」という分かりやすい位置づけを持つコインとして語られがちです。つまり、旧制度の中にいながら「十進(10で割れる)感覚」を持ち込もうとした、という見方です。
カタカナ表記の注意:日本語では「フローリン」「フロリン」と表記ゆれが起きやすいです。記事や販売ページごとに表記が違っても、基本的には同じものを指すことが多いです。
用語の“呼び方の混乱”は、アンティークコイン全般で起きがちです。たとえば「日本だけの呼び名が混じる」ケースもあります。混乱しやすい方は、こちらも一度読んでおくと安心です。
〖お詫びと解説〗「ヤング・ミドル・エリザベス」は日本だけの呼び方でした
旧貨幣制度でのフローリンの立ち位置(換算表)
フローリンを理解するコツは、旧貨幣制度(いわゆる£/s/d)の中で「どこにいるか」を地図化することです。
まずは換算表(よく出る単位だけ)
| 呼び名 | 旧表記 | ペンス換算(d) | ポンド換算 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 1ポンド | £1 | 240d | 1 | 基準(20シリング) |
| 1シリング | 1s / 1/- | 12d | 1/20 | “s”はshilling |
| フローリン | 2s / 2/- | 24d | 1/10 | この記事の主役 |
| ハーフクラウン | 2s6d | 30d | 1/8 | 2シリング半 |
| クラウン | 5s | 60d | 1/4 | 大型銀貨で人気 |
読み方の例:
- 2/-:2シリング0ペンス(=フローリン)
- 2s:2シリング(=フローリン)
- 24d:24ペンス(=2シリング=フローリン)
- 2s6d:2シリング6ペンス(=ハーフクラウン)
旧貨幣制度をまとめて整理したい方は、こちらに「ペンス・シリング・フローリン・クラウン」まで一覧でまとまっています。
1ポンド=240ペンス?イギリス旧貨幣制度の全て|ペンス・シリング・フローリン・クラウン・ソブリンまで完全解説
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フローリンの歴史:いつからいつまで?

フローリンは、単に「2シリング硬貨」というだけでなく、歴史の説明では十進化(デシマル化)に向かう流れの中で触れられることが多いコインです。
ざっくり年表(初心者向け)
| 時期 | できごと | 初心者が見るポイント |
|---|---|---|
| 1849年ごろ | 初期フローリン(“Godless Florin”として知られるタイプ) | 「2シリング=1/10ポンド」を強く意識した流れとして語られます |
| 19〜20世紀 | 各君主・各デザインで発行が続く | “年号だけ”でなくデザイン(タイプ)を確認 |
| 十進化の時代 | 10pとの関係が話題になる | 「フローリン=10p相当」として理解される場面がある |
| 1993年 | 旧10p相当としての流通が終了したとされる | 「もう使える?」の質問の結論に直結 |
注意:「古いから高い」「流通が終わったから必ず希少」という見方は危険です。アンティークコインの価値は、年号だけで決まらず、状態や人気、供給(市場に出る量)で大きく変わります。
アンティークコイン投資を全体像から学びたい方は、まずこちらの“道順”も参考になります。
アンティークコイン投資完全ガイド:初心者が失敗しない始め方と成功への9つのステップ
コレクションとしてのフローリン:価値が決まるポイント
フローリンは、比較的よく知られた額面なので、コレクションの入口にもなります。ただし、価格や評価の見方は「古い=高い」ではありません。初心者向けに、価値が動くポイントを整理します。
ポイント1:同じ“フローリン”でもタイプ(デザイン)が違う
フローリンは長い期間発行されており、君主やデザインが変わります。購入前には「年号」と同じくらいタイプ(デザイン/銘文の違い)を見てください。
ポイント2:状態(摩耗・傷・光沢)が価格に直撃する
アンティークコインは、同じ年号でも状態差で価格が大きく変わります。特にフローリンのように市場流通の多いコインほど、状態の良さが差別化要因になりやすいです。
ポイント3:「人気」と「売りやすさ」を軽視しない
希少性があっても、需要が弱いと価格が伸びにくいケースがあります。初心者のうちは、まず情報が多く、売買事例が追えるタイプを選ぶと判断がしやすいです。
購入前チェックリスト(初心者向け)
- 写真は表裏とも十分に鮮明か(傷・洗浄跡が見えるか)
- 年号だけでなく、タイプ(デザイン)を確認したか
- 同グレード相当の売買事例(オークション等)と比べて極端に高くないか
- 保管状態(ケース/スラブ/カプセル)が明示されているか
「価値が上がりやすいコインの条件」をもう少し体系的に知りたい方は、こちらが役立ちます。
値上がりするアンティークコインの見分け方|希少性・グレード・人気の3要素を徹底解説
初心者がやりがちな失敗と回避策

フローリンに限らず、アンティークコインで損をしやすいのは「安さ」や「希少そう」という言葉だけで動いてしまうときです。ここでは、初心者が避けたい失敗をまとめます。
失敗1:洗浄(クリーニング)されたコインを“お得”と勘違いする
強い洗浄は、見た目が一時的にきれいでも、評価や売却時の扱いに影響することがあります。「テカり」「不自然なツヤ」「細かい傷が目立つ」などは要注意です。
失敗2:説明が少ない出品(真贋・状態・返品条件が不明)に突っ込む
写真が少ない、重量や直径が書かれていない、返品条件が曖昧。こうした出品は、初心者ほどリスクが上がります。
失敗3:相場とかけ離れた価格で買う(高すぎても安すぎても危険)
相場は“完璧に当てる”必要はありませんが、同等品の売買事例を2〜3件でも見ておくと、危険な買い物を減らせます。
結論:「安い」「希少」より先に、理由(状態/真贋/説明の厚み)を確認してください。
やってはいけない行動をまとめて把握したい方は、こちらも参考になります。
〖絶対NG〗アンティークコインに絶対やってはいけないこととは?
よくある質問(FAQ)/ 用語集
最後に、フローリンで特につまずきやすい点をFAQにまとめます。読んでいて「ここが引っかかった」という箇所があれば、まずここに戻ってきてください。
FAQ
フローリンと「2シリング」は同じ意味ですか?
多くの文脈では同じものを指します。フローリンは“2シリング硬貨の通称”として使われることが一般的です。
「2/–」って何ですか?
旧表記の一種で「2シリング0ペンス」を意味します。フローリンは2シリングなので、結果としてフローリンを指す表記になります。
フローリンは今も使えますか?
「通貨として使えるか」は時点や扱いで変わります。一般論としては、旧10p相当として扱われた時期があり、使用終了(demonetised)したとされる情報もあります。コレクションとして扱う前提で考えるほうが安全です。
クラウンやハーフクラウンと何が違う?
額面が違います。フローリンは2シリング、ハーフクラウンは2シリング6ペンス、クラウンは5シリングです。近い額面が複数あるので、最初は換算表で確認するのがおすすめです。
用語集(最低限)
- £/s/d
- 旧ポンドの表記体系。ポンド(£)、シリング(s)、ペンス(d)で表します。
- シリング(Shilling)
- 旧制度の単位。1シリング=12ペンス。
- ペンス(Pence)
- 旧制度の小額単位。「d」はラテン語由来の表記として使われます。
- デシマル化(十進化)
- 通貨体系を10進に寄せる流れ。英国では旧制度からの移行期がありました。
- グレード(状態評価)
- 摩耗や傷の程度。第三者鑑定(スラブ)で評価されることもあります。
アンティークコイン投資の「リスク」を体系的に整理したい方は、こちらも合わせてどうぞ。
アンティークコイン投資のリスク完全ガイド|流動性・偽物・盗難など5つの注意点
まとめ:フローリンが分かると旧貨幣がラクになる

フローリンは、旧貨幣制度の中では覚えやすい“基準点”です。最後に要点だけ短くまとめます。
- フローリンは2シリングの通称として扱われることが多い
- 旧制度では2シリング=1/10ポンドなので、換算の起点にしやすい
- 表記(2/–、2s、24d)を読めるようになると、カタログ・売買事例の理解が一気に進む
次にやること:「旧貨幣表記で迷わない」ためには、同等品の売買事例を見ながら相場感を作るのが近道です。購入時に交渉が絡む場合は、基本の考え方だけでも押さえておくと安心です。
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